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なまめかしく、おどろおどろしく、生きている絵画。
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「『コルセット』という作品があります。
締め付けられたコルセットの中におさまること、それが今の自分と同じだな、と感じて作ったものです。
不思議と、芸術の前に『素直になってみよう』と思いましたね」
玉本さんは独自に加工した布と、油絵、アクリルを使って制作をしています。
ゴツゴツした表面は近寄りがたく、生き物が棲みついているかのよう。
作風は、決して美しいものではないし、癒されるようなほのぼの感もありません。
細胞レベルまで自分を見つめ直し、まるで得体のしれない物体が、迫ってくるよう。
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|玉本奈々『機械の私』
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画面にほとばしる、生命のエネルギー。
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それでも直視せずにいられないのは、作品が「熱」を放っているからでしょう。
生きるためのエネルギーを具体化するなら、玉本さんの作品こそまさにそれだといえます。
死を思えばこそ描きあげられる力。生々しさを教えてくれます。
心にモヤモヤっとしたものをお持ちの方は、必見。そのモヤモヤを突き詰めたかたちがあります。
玉本さんの内面世界を通して、実は自分の心を発見する。そんな経験ができる展覧会です。
text:サイトウリコ
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