紫野和久傳の文芸誌『桑兪』

ミニレオ1号です。どーも!

今年の夏「残暑お見舞いに」と、れんこん菓子『西湖』を取り寄せただけにもかかわらず、京都の紫野和久傳さんが自店の文芸誌『桑兪』の最新号を送ってくださいました。

桑兪 そうゆ 刊行によせて

 「ゆっくりと、じっくりと」
 本を読んでいるのを、そばで見ていてくれたおばあちゃんの口ぐせでした。
 昨今は、光のごとく速く文字が送られてきて、文章をかみしめる間もなく、消えていきます。
 そうした時の流れに逆らうようですが、一字一句を、ゆっくりと目で追ってじっくりと心の奥底にのこるような、そして、ある時にはその一節が想い出されて、親しい人との集いのおりに話題になるような。
 そんな小さな冊子をつくりたいと思い願うようになりました。
 「桑兪」の桑は、古来霊木とされてきた樹で、その葉は絹を生むお蚕さんを育むものです。兪は楡の木のことで、これも紙や糸になる有用な植物です。その楡の文字を「兪」と表すと「善し」「良し」の意味になるそうです。
 お蚕さんが吐く糸が何千本と機にかけられて一枚の布となって人の身体を暖かく包むように、お読みくださる方々に桑樹にそよぐ心地よい風のように本書をお送りできれば幸いです。

「一字一句を、ゆっくりと目で追ってじっくりと心の奥底にのこるような」と記されているだけに、組版が実に美しい! かな文字にはモリサワの秀英5号を使用。「た」「な」の流麗さにクラクラきます。

執筆陣も、加賀乙彦氏・玄侑宗久氏・東儀秀樹氏・宮本輝氏ら錚々たるメンバーが名を連ねてまして、もはや一企業の文芸誌の域を超えております。

読み物にも、エディトリアルのテキストにも。いいものをいただきました。

和久傳
http://www.wakuden.jp/index_pc.html
秀英5号かなファミリー | フォント製品 | 株式会社モリサワ
http://www.morisawa.co.jp/font/fontlist/details/fontfamily043.html